『八日目の蝉』
ここんとこ映画ログが続いてましたが、
読書ログ。『八日目の蝉』。
映画化された作品のコピーは、
「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした」
映画を観る前に原作を読みたい派なので、小説を先に。
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野々宮希和子は、「あの人」の娘の赤ん坊を誘拐してしまう。
その気はなかったが、一目、その赤ん坊を見たいという衝動で、
妻が夫を駅まで送りに行っているその間に、部屋にしのびこみ、
泣いてる赤ん坊を見て、衝動的にその赤ん坊を連れ去ってしまう。
生まれるはずだった自分の彼との子につけようと思っていた
「薫」と名づけ愛情を注ぎながらも、しかしその”母娘”の逃亡劇が始まる……。
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前半の第一部は、希和子の目線で、
「薫」を連れた逃亡生活がつづられる。
東京から名古屋、瀬戸内海の小豆島へ。
女たちにかくまわれながらも、
希和子と薫の母娘生活が続いていく。
そして後半の第二部は、薫(恵里菜)の物語。
「誘拐犯に育てられた子」としてのその後が綴られていく。
以下ネタバレありかもです。
◎どうしようもなく家族
どういう形が、家族としての「正しいスタイル」なのか。
何が普通で、何が正解なのか。
誘拐された「薫」は、希和子といて、
誰が見ても普通の母娘に見えた、といわれる二人だった。
そして一方で本当の家族のもとに戻った薫(恵里菜)は、
その時点で失われてた三年半があり、
誘拐犯に育てられた過去が家族の時間を育む妨げになる、、、。
「こんなはずではなかった」と思う場所から、
一歩も踏み出せなかった私たち。好きや嫌いではなく、
私たちがどうしようもなく家族であったことに、私は今気づく。
◎久美の母の言葉
女性ライターは、「野々宮希和子に対して何か言いたいことはないか」と
公判時と同様の質問をしている。裁判の席で、これには無言だった昌江は、
ずいぶん長い沈黙のあと、「あんたが野宮希和子じゃなくて、宮田京子だったら
どんなにいいかって、今でも思ってる」とぽつりと言った。
彼女のこの言葉に、なんかいろいろが詰まってる気がして、
すごく泣けた。すごく涙が出てきました。
◎ここではない場所に私を連れ出せるのは私だけ――
それから私が考えたことはひとつだけだった。
あの事件とまったく無関係の場所に連れていってくれるのは、
ほかの誰でもない、自分だけ。
自分が何かを踏み出さないといけない。
変わりたければ、自分自身が踏み出さないといけない。
これについては、ここ数日で、
三回、別の機会で、触れることがあり、
今すごく心に刺さってる言葉。
別エントリーで書きます。
小説は小説で。
読みやすく気持ちに刺さる内容でした。
これがどんな映像になっているのか……。
永作博美&井上真央もすごく好きだし、
小池栄子の評判がやたら良いので、
映画もぜひ観たいです。
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【読書:001】八日目の蝉
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