Daily Archives: 2011/03/22

【映画:DVD篇④】悪人

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悪人

akunin
映画化されたのを知って小説を読み、
日本アカデミー賞で、主演・助演・音楽と5冠を制したと聞いて、
映画もやっぱり観たいと思っていた作品。ようやくDVDで。

博多から少し離れた山奥のカーブで、
遺体で発見された保険外交員のOL(満島ひかり)。
第1容疑者で疑われたのは大学生(岡田将生)だったが、
次第に、被害者が出会系サイトで出会っていた、
長崎の建設作業員・清水祐一(妻夫木聡)が容疑者として浮上。

そんな頃、その清水祐一のもとに1通のメール。
佐賀の紳士服で働く女性店員・光代(深津絵里)からで、
これも、以前出会系サイトでメールをやりとりをしていた相手。
待ち合わせて、出会い、お互いに思いを寄せ合うようになるも、
「自分は人を殺した」という祐一の告白から、
二人の逃避行が始まる…。

助演男優賞に、被害者・父役の柄本明。
助演女優賞に、加害者・祖母役の樹木希林。

#音楽の久石譲は、(たまたま・・・本当にたまたま)
wowowで「ツインピークス」を観た直後だった私は、
ちょっと・・いやだいぶかな、似てるような気がしているんですが。
あれ…気のせいかな。。今週のツインピークスでチェックしてみます。
と。話はそれましたが・・・・。


◎映像での再現性

小説の世界観に対する、映像への再現性がすごいなと。
次に書くけど「告白」と真逆ですごい。妻夫木くんは、少しイメージと
違うかなと思ったけどあまり気にならないぐらい。小説を読んでいて、
頭に浮かんでた映像そのままが画面のなかに表現されているんじゃないかと
錯覚するような。もはや多少は観る前にCMとかで流れる映像に、
自分のイメージが上書きされている部分もあるのかもしれないけど。

それに、他で借りたDVDの新作紹介で、
「悪人」の予告映像何回も観たのですが、その切り取り方もすごい。
観る前は見たくなるし、観たあともなんだか思い出して迫力に圧倒される。
でも全てを切り出してるわけじゃない。それほど本編の濃度が濃いのかも。

ストーリー上は脇役だけども、柄本明、樹木希林もすごい。
あと若手で、被害者、容疑者の大学生、大学生の友人である、
満島ひかり、岡田将生、永山絢斗(瑛太弟)もすごく良かった。

◎誰が「弱者」で、そして何が「強さ」なのか

「悪人」というタイトルが、なにげにずっと引っかかっていて。
個人的には、善悪を二極だけでしかみない「悪人」という言葉は
好きではないのですが。それをあえて使っている感じで。
ただ小説では、それを説教くさく語っているような気がして(勘違いかも?)
なんとなく「悪人」という言葉のうまく消化できないままだったのですが、
映画を観ていると、「悪人」という言葉にひっぱられて、
「弱者」という存在感がすごく際立っていたような気がしました。

被害者が弱者なのか…
過去に傷つき追い込まれた加害者が弱者なのか…
大切な人を失って自分を責めてしまう者が弱者なのか…
マスコミにさらされる加害者家族が弱者なのか…
“孤独”という切り口で語られてしまう現代人がみな弱者なのか…
表層的なところを切り取って報道してしまうマスコミがあるいは弱者なのか…
自分の弱みを晒さないよう怯えて虚栄する者が弱者なのか…

「弱さ」…孤独っていう弱さ、すがりたくなる弱さ、
虚栄してしまう弱さ、マスコミという弱さ。
・・・でもそうした弱さの先の極限にこそ、
”本当の強さ”が存在しているような。。

被害者・父の言葉。
「あんた大切な人はおるね?今の世の中、大切な人がおらん人間が多すぎる」。
もしかしたら自分の弱さの先に、大切にすべき存在・価値観とかがあるのかもなぁと。
日々の日常の中で、軽々しく、ごまかしてしまいがち…だったりするんですけどね。

◎目指すものへの粘り

日本アカデミー賞の受賞のとき、柄本明が、
「俳優やっておりますが、賞を頂くのはそういう作品に巡り合わなければ頂けない。
素晴らしい脚本、共演者、監督、スタッフの巡り会わせがある。
(李相日監督は)しつこい監督でございました。本当にしつこい監督でございました。
そういう監督の存在を待ち望んでいた僕がいました」と語ったそうだけど、
これだけ揃いもそろって俳優さんもよかったし、
そういった演技も世界も含めて映像に入り込めて浸りきれるのは、
監督のもつイメージの強さと、そこにたどりつく粘りや執念から生まれるものなのかなと。。

自分たちのデザイン(制作)の仕事とかも、やっぱりどれだけ、
イメージするものへ粘れるかというのがあるので、
いろいろ考えさせられますね。。。
特に自分は、自身で手を動かす職種じゃないだけに、
現場のスタッフに気を遣ってしまって、まあいいかと、
「できる部分まで」といった無理をさせない方向で、
処理やコントロールをしてしまいがち。
でも結局それは、いい子ちゃんで思われたいエゴで、
実は結果的には作品もスタッフもダメにしてしまう姿勢なんじゃないかなと。。。
プロデューサの情熱が、現場を動かすほどの力を持つなら、
細かい作業や質について粘っても良いのかもしれない、というか、
粘らなきゃいけないのかもしれない。。

粘れないのは情熱がないからじゃなくてビジョンがないから

ゴールとなるビジョンを持って、ぶれずにその一点を見続けて、
そこへの情熱で現場をリードしていく、ようなプロデューサになりたいです。

「ぶれない軸」探しの旅、、。
終わりなき旅ですな。。

ま、映画からはずれてしまったけど、
そういった映像づくりへの気迫とか、
そういうものに引き込まれる作品でした。

【映画:DVD篇③】ハナミズキ

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ハナミズキ

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■ハナミズキ

「恋空」のガッキーにはまりまくった派としては、
ハナミズキは、少し物足りないような気もしていたので、
期待せずに観たのですが……。映画は、でも、やっぱり、
観るときの心境とかに大きく左右されるものですね。。

北海道の海辺の田舎町。
早稲田大を目指す受験生・紗枝(新垣結衣)と、
同じ高校3年生で漁師をめざす康平(生田斗真)の、
淡い恋から始まる10年ごしの切ない恋物語。

早稲田受験に、見事合格し、東京で一人暮らしを始める紗枝。
康平との遠距離恋愛のなか、新たな早稲田大学での新生活のなかで、
フォトジャーナリストだった亡・父親に面影が重なる北見先輩(向井理)と
出会う。紗枝と康平、と北見先輩。遠距離の切なさも絡み、
その三角関係は、だんだん微妙なバランスになっていく…。

◎見る側の心境による感傷

たぶんいつもならスルーしてしまうようなサヨナラのシーンが、
なんだかことさら切なく思えたり。

NYで働く紗枝の姿に、自分も英語圏で働きたいな、と思ったり。
(私の場合、働きたいのはロンドンだけど…)

そういう全体の恋のストーリーにというより、
自分の”今現在の心境”に寄せたポイント・ポイントで、
なんだかいろいろと(勝手に共感して)感じ入ってしまうシーンが、
多かったです。・・・ま、映画とか小説って意外とそういうものですよね。

トータルとしては……個人的には、
北海道訛りがなんだか違和感あるような気がして(気のせいかもだけど)
そっちに気になってストーリーへの集中度がちょっと途切れ気味でしたが。

まあ、でも、なんといっても。
高校生はいいですな!
ほんと。青春だなと。

あとカナダに住んでいたことがあったのと、
(ちなみに幼い頃に覚えてないけどNYの近くに住んでたことも)
両親が北海道出身なので、なんだか、土地的な縁が多かったかな。
あと高校まで早稲田の近くに住んでたし(受験は落ちたけどw)。

【映画:DVD篇②】オカンの嫁入り

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オカンの嫁入り

okan
ある夜、オカン(大竹しのぶ)が酔いつぶれて、
連れ帰ってきた金髪リーゼントの板前兄ちゃんのケンちゃん(桐谷健太)。

そんな2人を深夜に介抱して、翌朝、ご機嫌ななめの娘・月子(宮崎あおい)は、
オカンから「ケンちゃんからのプロポーズを受けることにしました」と
聞いてさらにびっくり。寝耳に水な、月子、ブチギレ。

というイントロから始まる、
大阪下町の人情ストーリー。

“陽”なキャラクターの陽子さん、大竹しのぶに、
“陰”なキャラクターの月子ちゃん、宮崎あおい。
対照的な母娘。
そこに、派手な見かけと裏腹に、
心優しく穏やかなケンちゃんが参加。

でも、それぞれに、いろいろを抱えていて・・・。

そんなこんなの心あったまるほっこりストーリーだけど、
映像もなんだかすごく丁寧で、素敵な映画でした。
大竹しのぶも相変わらず素敵だけど、
宮崎あおいは本当にかわいいなあーと。
あんなにも、笑顔と、しかめっつらが、
可愛い子はそういないよね!!笑

映像もストーリーも丁寧で、
大阪弁もほっこりとして、
心地良い映画♡
しかも大竹しのぶ×宮崎あおい。
ただのほっこりストーリーだけで終わることもなく。
じーんと染みる感じの切ないエピソード。

大好きです。