Daily Archives: 2008/05/07

『チームバチスタの栄光』 海堂尊

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続いて『チームバチスタの栄光 上・下』も読了。
いやー!!
これは面白かったですね!!
最初、映画のほうに興味があったんですが、
なんかのサイトに書き込まれた映画評コメントで、
竹内結子の田口を「あんなの田口じゃない!!」みたいな
原作ファンのカキコミがあって……。
それをきっかけになんとなく原作に興味を持って、
この前、本屋で目にしたので、
これまたなんとなく手にとり……。
いやいやいやいや、
これがまた本当に面白かったです!!
上巻の前半は、神経内科(映画では心療内科)の
田口先生の面談による観察記録。あとがきの中でも
例えられてたけど、たんたんと積み上げられていく、
ワトソン先生的な、凡人目線の印象をまじえた、
人物描写や手術時の状況・背景などの情報が
たんたんと収集されていく。
一転、下巻の後半でいきなり登場する、
厚生省の異端児役人の白鳥。
『TRICK』の上田教授とかで、トリッキー役がはまり役になった
阿部寛にもうピッタリ!!(小柄で太めな白鳥設定にはあわないけど)
わたしの頭のなかでも、もう、阿部寛キャスティングのまま、
ストーリーは大爆走。
調査の相棒にさせられた田口先生も、
チームバチスタはじめとする関係者面々も、
もちろん読んでる読者も、どんどん、白鳥にペースを崩されながら、
ぐいぐい引き込まれていく感じ。
犯罪の犯人探しやトリックとかよりも、
桐生先生・鳴海先生をとりまく背景だったり、
医療現場の実情の課題だったり、
ラストの記者会見の辞表劇とか。
そういった最後らへんの人間劇がまた面白かったです。
記者会見シーンの痛快さは、読んでいて、
なんか中学のときに夢中になってた、
『ぼくらの7日間戦争』を思い出しました。
地味で無口な中1か中2だったころ、
私は、『ぼくらの7日間戦争』シリーズの小説にはまってて。
あの中学生どまんなかで、幼いながらもエネルギーいっぱいの
痛快さに胸を躍らせながら夢中になって読んでたものです(笑)。
なんかひさびさに、
それに似た爽快感というか。
どことなく懐かしい思いがしました。
あとは、田口先生というか作者のユーモアというか。
時折さしこまれるちょっとした、
小バカにしたときの毒舌表現がかなりツボ!!(笑)
映画の、竹内結子の田口先生は、
確実に田口公平先生とは違うだろうけど、でもそれを承知で、
映画のほうもちょっと観てみたくなりました。
もうDVD出てるのかな~??
ま、そんな感じで。
今日の名古屋は暑いです……………。
このあと、
母とまた映画を観に行ってきます!!
『あの空をおぼえてる』ですね、今日は!!
ほいじゃーまた。

『食堂かたつむり』 小川糸

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『食堂かたつむり』
一言でいうと、主観目線のある”かもめ食堂”といった感じでしょうか。
ひとまず主人公が食堂を開くまではそんな感じ。
食べものについてのていねいな描写も、なんだかほっこりと
あたたかいし、なかなか悪くない………印象でした。
食堂をひらくまで。
そして食堂をひらいた後の内容について、
さらにもう一言をつけ加えると、
 やっぱり、かもめ食堂は、
 あの主観をとりのぞいた感じが良かったんだな……と。
 再確認する感じ。
………かな(笑)。
正直言って、個人の好みの問題なんですが、
食堂をひらいてからの内容はハッキリ言ってしまうと、
私の趣味とは、かなり大きくずれがありました……。
・食堂は1日1組
・メニューはあらかじめ面談やメール相談してから決める
・スープ(ジュデームスープ)に入れる野菜は本人を見てから決める
などなどの食堂の”こだわり”が
そもそも、わたしには解せないわけで。
そんななので、本にもちょっと感情移入できず……。
まあちょっと辛口で言えば、上の「こだわり」は、
食堂としてのこだわりというよりも、料理人のエゴのように
思えてしまいますね。お金を払わず、無料でごはんを作ってくれる、
絵本に出てくるような、森のおばあさん……とかならともかく。
 客にプレゼンさせて、
 客を待たせて、
 それを前提として料理を出す食堂なんて……。
まあ。でも、途中で読むのをやめて、あれこれ言うのは
マナー違反かな、と思って、とりあえず、
最後まで読むことに……。
でも結局、印象はたいして変わりませんでした。
時折、出てくる下品な空気にもなじめず。
なんていうんだろう……読み間違ってるかもしれないけど、
そういう下品な空気に作者自身が無意識に嫌悪感を
持っていながら、理性でおさえて、下品なエピソードを
盛り込んでる、みたいな印象というのかな。
下世話な世界への”しょうがないやつらだなあ”的な
呆れ半分の愛情みたいなのが感じられず、
描かれてる印象があるからかな。
読んでてもなんとなく嫌悪感が残り香をのこす感じ。
ま、それはともかく。
でも唯一、気持ちがグッときたポイントもありました。
最後のおかんの手紙は、
個人的にはなんだかグッときた。おかんの守り神のトリックに。
トリックは最初からばればれなんだけど、なんかそこに少し、
そのこめられた愛情にグッときました。
いずれにしても、
「食べるという行為にこめられた命の犠牲?」
といったものがテーマだったとしたら、
『いのちの食べかた』を観たあとではなかったのが幸いだったかな。
せめて観る前に読んだのが救い。
(映画観たあとだったら、さらに読後感が悪くなってそうです……)
※個人的な好みにもとづいた感想なのであしからず!!